MUSERが注目する世界の音楽ニュース
ライブを見ながら、アーティストを応援するための配信プラットフォーム「MUSER」が注目する世界の音楽ニュース。今回は、Downtown Music Holdingの記事を翻訳してお届けします!音楽業界における独立系アーティストの立ち位置が変化している。
インディーズを愛する会社が次の10億ドルサクセスストーリーを達成するかもしれない。
「メジャーな音楽会社とは何か?」
この質問に対する、回答にジャスティン・カリフォウィズ氏(Downtown Music HoldingのCEO/創設者)は頭を悩ます。業界全体の回答は「Universal Music Group, Sony Music Group ,Warner Music Groupの3つがメジャーな音楽会社である」だ。しかし、ジャスティン氏は「では、それ以外は全部マイナーな会社なのか?」と反論する。
業界が上の3つの会社をメジャーな会社とする理由は、シンプルである。毎年、数十億ドルの売り上げを出しているからだ。しかし、ジャスティン氏は他の要素も会社の規模に考慮されるべきだと提言している。「売り上げで見ると確かに大きく見えるけど、他の要素、例えば一緒に活動しているアーティストの人数とかを考慮すると、また違って見えてくるよ」
確かに、アーティストの人数で見るとジャスティン氏のDowntown Musicの規模は巨大であり、音楽業界における次世代のビッグプレイヤーと呼べよう。 Downtown Musicが運営するアーティスト支援サービスSongtrustは30万人のアーティストがプロデュースした200万曲の収益活動を行っている。それに比べて世界で3番目に大きい音楽出版社であるWarner Chappell Musicはわずか8万人分しか収益活動を行なっていない。
さらに、Downtown Musicは音楽ディストリビューションのサービスで95000人の独立系アーティストの活動をサポートしているCD Babyを2億ドルで買収した。
「独立系アーティストのコミュニティは大、中、小のビジネスが数百万単位の点在する状態だ。今まで、音楽業界では曲の著作権を持つ人たちは自分たちのことしか管理していなかった。彼らは、個人アーティストのことなんて気にしてなくて、自分が経済的に一定のレベルに達することしか頭になかった。」
「しかし、今は違う。今は数百万人の独立系アーティストがグローバルに活躍している。独立系アーティストは自分でどんどん進んでいける。今までのやり方では、業界は置いてきぼりさ。」
ジャスティン氏は明言することを控えているが、最近ではDowntown Musicの売却も噂されている。今年の売上が5億ドルに達している彼らの売却額が10億ドルになることも現実的な話だ。Downtownは、以前から独立系アーティストの世界に関心を示しており、多額の投資を行ってきた。その投資は、確実なプラスの結果をもたらしている。Midia Researchのリサーチによれば、独立系アーティストは約8.7億ドルを生み出した。これは、音楽業界全体の4.1% にのぼる。
独立系アーティストにとって、DowntownのSongtrustはユニークなポジションにいるサービスだ。Songtrustでは、アーティストのファンの規模に関わらずロイヤリティを世界中から回収できるシステムだ。
その一方、買収したCD Babyは競争的な市場にいる。ライバルにはTunecoreやUnited Masters、さらにはUnited Music GroupsのDIYアーティスト向けのサービスである、Spinnupがいる。Spinnupを通じて、すでに80人以上のアーティストがUnited Music Groupからメジャーデビューした。このように、レーベルがDIYアーティスト向けに配信サービスを設け、その中で芽の出たアーティストを自分たちのレーベルに引っこ抜くモデルが普及しつつある。CD BabyのライバルであるAmuseやWarner Music Groupが実験的にローンチしたLevelがその例だ。
「独立系アーティストは本当に自分たちを援助するために作られた配信サービスを使うべきである。彼らは100億ドルを超える市場そのもので、レーベルなど業界全体もそれを認識するべきだ。」
「(音楽関係の方)もし、あなたが独立系アーティストのことを大物に引き立てるためのロスリーダーだと思っているのならそれは大間違いだ。その考えは、自分の会社に対しても、独立系アーティストに対しても害を与えている。」
Downtown Musicは自分たちのサービスで活躍しているDIYアーティストへの投資をさらに加速できるビジネス構造と資金力を持っている。その証拠に、Downtown Musicが保有する音楽出版社では、3万人の作曲家たちの活動をマネジメントしており、人気アーティストのAdele、Beyoncé, The Eaglesなどの著作権を有している。
しかし、Downtownの収益のほとんどは自分たちが保有している著作権以外のところから来ている。実は、収益の大半はレーベル間やアーティスト・レーベル間の著作権のやり取りのサービスパートナーとしての手数料が占めている。この収益構造が、既存の「メジャー」な音楽会社と違うところだとジャスティン氏は語る。
「もし、個人アーティストを音楽業界の端くれだと考えているのならば、それは古い考えだ。今日そして未来の音楽業界を語りたいなら個人アーテイストは確実に無視できない存在である。」
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