MUSERが注目する世界の音楽ニュース
ライブを見ながら、アーティストを応援するための配信プラットフォーム「MUSER」が注目する世界の音楽ニュース。今回は独立系アーティスト向けの音楽ディストリビューションサービス『TuneCore』を保有・提供する音楽企業Believe(仏)の上場に関するニュースを翻訳してお届けします。
TuneCoreと似たビジネスを展開する『AWAL』を保有するKobalt社(米)も順調に事業拡大を続けています。「個の時代」と言われて久しい現在、世界を見渡せば、独立系アーティスト市場は確実に広がっています。
パリに拠点を持つ音楽ディストリビューション会社Believeは2017年から価値が4倍になるのか?どうやら、ロイター通信のレポートによるとBelieveは$24億での上場を2021を目処に準備を進めているようだ。
2017年にSony MusicによるBelieveの買収が噂された際には日経新聞社はBelieveの価値を$3.5億から$4.5億だと算定した。しかし、この買収は実現しなかった。そして、それから3年が経ちBelieveはロスチャイルド&カンパニーとの協力をもとに$24億でニューヨークまたはパリでの上場を計画している。
Believe は、2019年に$7億の利益を得ており、グループとして毎年40%の売上増加をここ3年で経験してきた。そして、今年もその増加率を保つだろうと言われている。
さらに、フランスの新聞社Le Mondeによるインタビューで収益$10億のベンチマークは2021年、遅くとも2022年には到達すると述べていたらしい。ちなみに、Believe の所有権の49%は、アメリカのベンチャーキャピタル(VC)Technology Crossover Ventures が保有し、残りの51%は他のVCや会社のマネジメント層が保有しているという。
Believe以外にも、既に上場した(/する)現代音楽会社はたくさんある。同業のRound Hillはその一例で、ロンドン株式市場で$2.8億の資金調達をするプロセスにある。また、現金と音楽資産を合わせて$150億の総資産を持つPrimary Waveも、ニューヨーク株式市場での上場準備を進めている。 Primary WaveのCEOであるLarry Mastel氏は先日のMBW Podcastで“我々が株式市場に上場することは十分に可能であり、様々な資金調達方法と照らし合わせながら協議している”と述べた。
しかし、Believeは先述のRound HillやPrimary Waveに比べて決定的に違う点がある。それは、Round HillやPrimary Waveが音楽の権利で収益を上げているのに対し、Believeは第3者の著作権保持者に対してサービスを提供することで収益を上げている点だ。この第3者とは、BelieveのサービスTuneCoreを利用する100万人規模の独立系アーティストである。(TuneCoreは現在、独立系アーティストに年$40億のロイヤリティを支払っている)
TuneCore経由以外でも、World Circuit ,TruThoughts, Brownswood RecordingなどがBelieveのクライアントだ。さらに、Believeは自分たちのインハウスレーベル All Points, NaïveとNuclear Blastを保有している。
Believeが先駆けとなり、これから同様の独立系アーティストを対象としたディストリビューションサービスが盛り上がっていくのかもしれない。同じようなサービスを持つKoblat Music GroupとDowntown Music Holdingは既に複数の投資家とコミュニケーションを重ねており、$10億規模の売却になるのではないかと噂されている。
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