MUSERが注目する世界の音楽ニュース
ライブを見ながら、アーティストを応援するための配信プラットフォーム「MUSER」が注目する世界の音楽ニュース。このシリーズでは主にアメリカのニュースを取り上げてきたが、視点を変えて今回はドイツでの音楽ストリーミング業界に関するニュースを翻訳して紹介する。
ヨーロッパの大国と称されるドイツの音楽ストリーミング事情はいかに?
ドイツの音楽ストリーミング市場は今年爆発的成長を見せた。2020年の上半期ですでに昨年の4.8%増、リテールベース$8.56億を売り上げた。音楽ストリーミングサービスのSpotifyやApple Musicはドイツ国内で$5.62億を売り上げ、German Music Industry Association BVMIによると、これは昨年と比べて20.7%の増加だ。
2020年上半期と下半期を合わせた音楽ストリーミングによる売り上げは発表されていないが、再生回数は1月8日に発表され、ドイツ国内では音楽が1390億回再生されたという。これは昨年の1億回と比べて30%の増加、一昨年の7950万回と比べて75%の増加だ。
2020年で最もストリーミング回数が多かった日は、クリスマス・イブの12 月24日で6億回。次に多かったのが12月31日、大晦日での再生が5.3億回だった。特に、マライヤ・キャリーの”恋人たちのクリスマス(All I Want For Christmas Is You)’が450万回再生され、昨年に同曲が記録した320万回を突破した。
ワム!の”ラスト・クリスマス(Last Christmas)”も420万回され、第2位となり、24時間の間で最も再生された10曲の内8曲がクリスマス関連の曲だった。 (その他、クリス・レアの”Steven’s Merry Christmas Everyone”やメラニー・ソートンの“Wonderful Dream,Holidays Are Coming”などがランクイン)
BVMIのCEO Dr. Florian Drücke氏は「ストリーミング回数が300億回も増加したことは素晴らしい。しかし、この増加トレンドはコロナ前からあったものでコロナ後も増加が予想できる。」
「現在、音楽の大半はオンラインで聴かれている。これはマーケットのデータにも現れていて、2020年上半期の音楽業界の売上の66%は音楽ストリーミングから来ている。そして、いかに音楽業界がEuropean Copyright Directiveから逸脱せずにコミットしているかを説明している。なぜなら、逸脱してしまうと彼らのデジタルライセンスビジネスに悪影響を及ぼすからである。」
さらに、GFK EntertainmentのマネージングディレクターのMathias Giloth氏は「ストリーミングは多くのドイツ人の日常生活の一部となっている。特に”Made in Germany(ドイツ産)”の音楽(ジャンルはヒップホップ、ポップ、ダンスなど様々)が人気で、国内のトップチャートの半分を占めている。これからのドイツ国内の音楽業界はさらに成長するだろう。」と述べている。