2021.02.17
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【音楽ライブ配信MUSER】ソニーミュージックがAWALとKobalt Neighboring RightsをKobalt Music Groupから買収?!

MUSERが注目する世界の音楽ニュース

ライブを見ながら、アーティストを応援するための配信プラットフォーム「MUSER」が注目する世界の音楽ニュース。今回はソニーミュージックによるKobalt Music Group傘下の企業2社の買収についてのニュースを、Music Business Worldwide (以下、MBW)より翻訳して紹介する。

買収額$43億の取引内容と買収したソニーミュージックの思惑とは?!



Kobalt Music Groupがソニーミュージックの取引に応じた。
取引内容は、ソニーミュージックによるAWAL(Artists Without A Label)とKobalt Neighboring Rights (の買収だ。取引額は$43億(約4300億円)になるという。

AWALは独立系アーティストに様々なサービスを提供する音楽会社で、今までLauv、Finneas、AG Club、girl in red、Nick Cave & The Bad Seeds、Little Simzなどにサービスを提供してきた。

もう1つの買収先Kobalt Neighboring Rights (KNR)は、著作隣接権の管理を行う会社で、2013年からすでに$25億(約2500億円)を2000人のアーティストのためにディストリビュートしてきた。その中には、Cardi B、Ed Sheeran、Ariana Grande、 Concord、Secretly Canadianなどが含まれる。

取引がこのままスムーズに進めば、このAWALKNRはソニーミュージックの傘下に入ることになる。ソニーミュージックはこの2社を既存の事業構造に組み込むのではなく、新たにディビジョンを設立するという。さらに、ソニーミュージックの音楽レーベルThe Orchardとは、テクノロジーとネットワークを共有することで更なる成長を目指すという。AWALの CEO Lonny Olinick氏はCEOとして続投する。

AWALは、以前Lil Peep、Tom Misch、R3hab、Rex Orange Countyなどに対して、ディストリビューション、マーケティング、ラジオプロモーション、アナリティクスなどのサービスを提供してきている。ソニーミュージックの傘下になったことでAWALは、The Orchardとは別でアーティスト契約、開発、マーケティングを行っていく一方で、The Orchardとソニーミュージック・エンターテイメント全体のディトリビューションネットワークを活用しサービスの幅を今後どんどん増やしていくという。逆に、ソニーミュージックのアーティストとThe Orchardのディストリビューション先はKNRと提携してオペレーションが可能になるという。KNRのCEO Ann TausisもCEOとして続投するとのことだ。

ソニーミュージックの会長Rob Stinger氏は「我々のAWALへの投資は私たちと独立系アーティストコミュニティとのコネクションを作ってくれた。AWALの柔軟なソリューションとサービスを活用してアーティストにエキサイティングなキャリアを提供することで、アーティストがファンと繋がる新しい方法を構築できるようにしたいと思う」という。

The OrchardのCEO Brad Navin氏は「The Orchardの包括的なサービス、グローバルでの存在感、テクノロジーはAWALの更なる成功に貢献できる。我々はアーティストに鮮明さ、グローバルソリューション、そして世界中のファンに音楽を届ける様々な方法を提供していきたい」という。

さらにAWALのCEO Lonny Olinick氏は「AWALはこれまで設立からアーティストのクリエイティブ活動を支えてきた。そして今、ソニーミュージックのグローバルネットワークの一部となったことでこのビジョンをさらに拡大できると信じているよ。あと、AWALは自分たちの著作隣接権管理機能とDIYプラットフォームを持ちたいと思っている。その点でも、ソニーミュージックのメンバーになれたことでそれの実現に近づいた気がするよ。」と述べている。

MBWは昨年の9月にKobalt Music Group(KMG)がグループ会社の売却に着手していることを報道した。この度、AWALKNRを売却したことでKMGの傘下にはKobalt Music PublishingとAMRAの2社が残ることとなった。

AWALは2019年の6月からの12カ月間で売上が86%(約$1.1億)上昇したという。一方でKNRは同じ期間で$6900万を売上げ、$400万を貢献利益として計上した。ソニーミュージックによるAWALの買収は、Rob Stinger氏が推し進めるソニーミュージックの独立系マーケットでの活動をさらに拡大させた。

ソニーミュージックは近年企業の買収を活発に行っている。先月には既にJ.Erving氏が設立した、アーティストサービス企業Human Re-sourceの買収を行っており、現在ではThe Orchardと統合されている。

この買収トレンドは2017年から見られており、2017年にはヨーロッパのディストリビューション会社2社を買収したことでヨーロッパでのプレゼンスを高めた。2017年の4月にRob Stringer氏はThe Orchardを中心とした投資を行っていくとのコメントを残している。

「我々はThe Orchardを収益的に成長させながら、関連するアーティスト、レーベルそして何より近年のデジタル化で注目させる独立系コミュニティに提供するサービス拡大できると信じている。」

参照リンク:https://www.musicbusinessworldwide.com/sony-music-buys-awal-and-kobalt-neighbouring-rights-from-kobalt-music-group/