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今回は、フランスのBelieve社のIPO実施にまつわるニュースをご紹介。いよいよIPOしたBelieve社が今後の音楽業界に与える影響とは?
つい先日、フランスのインディーズ系配信サービス企業、Believe社がパリ・ユーロネクストにてIPOした。
TuneCoreや様々なレーベルのオーナーでもあり、独自ブランドのインディーズ系サービスプラットフォームを持つ同社は、IPOの想定価格を1株あたり19.50ユーロから22.50ユーロと発表しており、当初の発行株式数は15,384,616株となっている。
つまり、想定価格帯の下限(19.50ユーロ)であれば、3億ユーロの資金調達となる。
すでにFSP(Fonds Stratégique de Participations)から6,000万ユーロのBelieve株の発注を約束されている。幸先の良いスタートを切っているようである。
加えて、Believe社はIPOのためのオーバーアロットメントオプションを発表した。これは、当初の発行額の最大10%に相当し、1株あたり19.50ユーロの場合、3億3,000万ユーロの資金調達となるのである。
募集は6月1日から開始され、フランス国内の株式については来週火曜日(6月8日)、海外の株式については来週水曜日(6月9日)にEOPを終了する見込みである。
その後、Believe社は6月10日(木)にパリ・ユーロネクストでの取引開始を予定していると発表した。
Believeの創業者兼CEOであるDenis Ladegaillerie氏は次のように述べる。
「私たちの野望は、デジタル世界で独立したアーティストやレーベルを育成するグローバルリーダーになることです。2021年の第1四半期に、Believe社は設立以来最大の独立系アーティストやレーベルを集めました。ここ数週間の間で私たちは多くの投資家と会い、Believe社がどうやって音楽市場のデジタル化において独立系アーティスト・レーベルから利益を得るのか、理想的な位置づけができているのか、しっかりと理解してもらえています。今回のIPOに6000万ユーロの投資を行ってくださるFSP(Fonds Stratégique de Participations)はまさにそうです。」
「今回の取引は、Believe社が収益性の高い成長軌道に乗って加速している時期に、テクノロジー企業を専門とする当社の歴史的な長期株主であるTCVとともに、強固でバランスのとれた株主基盤を構築することを目的としています。これにより、特にターゲットを絞った買収を通じた成長のための資金調達が可能になります。革新的な技術プラットフォームを開発し、市場で最高のデジタル専門知識を持ち、アーティストや独立系レーベルの傍に現地チームを配置し、透明性、公正さに基づいた信頼関係を構築することは、我々の野心を支える本質的な要素です。Next 40※企業として初のIPOに参加することは、未来あるアーティストや独立系レーベルの成功への投資でもあるのです。」
(※Next 40:フランスで将来性を期待されている企業のリスト)
2021年第1四半期、Believe社は主要なインディペンデント・アーティストやレーベルの多くを新規契約として獲得した。
Believe社と契約を結んだ代表的なアーティストには、英国のシンガーソングライターのJames Morrisonや、ヘビーメタルの巨匠Sabaton(Nuclear Blast経由)、バイラルなPlugged-Inシリーズを手がけるFumez The Engineerなどがおり、レーベルにはイギリスのCommunion Recordsがあげられる。
Communion Recordsは、現在、Laurel、Bear’s Den、Lucy Roseなどのアーティストを擁しており、これまでにBen Howard、Michael Kiwanuka、Catfish and the Bottlemenなどの拍のあるキャリアを立ち上げてきた。その他のインディーズレコード会社では、ダンスレーベルのCr2 Recordsや、ポーランドで急成長しているレーベル、ZPR Mediaなどが新しく契約した。
東南アジアでは、前人未到の350社のインディペンデント・アーティストとレーベル・パートナーと契約した。その中には、YouTubeで110万人の購読者を持つ南タイの大物アーティスト、Wut Pabonも含まれ、フィリピンのTikTokのバイラルヒットメーカーであるLil Vinceyyや、ワーナーと契約していたタイ最大級のインディーズレーベルであるLoveIsとも契約した。
「第1四半期はBelieve設立以来最も多くの契約を獲得し、Believeのユニークなモデルが音楽市場の変革の中核に理想的に位置し、より多くの新興アーティストやレーベルを既存のアーティストやレーベルに引きつけ、地元のトップアーティストやレーベルの維持に成功していることを証明しています。」
Denis Ladegaillerie氏は、第1四半期の状況について次のように述べている。
「当社の歴史上、伝統的なメジャーレコード会社から来たアーティストやレーベルとの契約がかつてないほど増えました。それらの成功は、アーティストとレーベルの市場の変化が加速していることを示しています。アーティストやレーベルは、デジタル市場が収益の大部分を占めるようになった今、リリースを展開するためのデジタルファーストの専門知識や、経済性の把握など、これまでとは異なる関係が求められています。Believeはそのようなモデルを提供しており、それが我々の魅力だと自負しています。」
■Communion Music GroupのManaging DirectorであるJamie Emsellより:
「最初に話をしたときから、Believeの野心とグローバルな市場に対する前衛的な視点に感銘を受けました。また、BelieveはCommunion Recordsの歴史をよく理解しており、我々が次のステージに進む熱意に親身となってくれました。Communionはパートナーシップを結んでいるアーティストのためにこれからも尽くしていくつもりだが、想像よりもさらに多くのことをしていきたいと思っています。」
■Cr2の創業者兼CEOのマーク・ブラウンより:
「Believeとのグローバルな販売契約とパートナーシップに大いに期待しています。Cr2 Recordsは18年間にわたって自主制作のレコードをリリースしてきましたが、独立性を保ちながらレーベルを世界的に拡大・成長させるためには、Believeと提携する機は熟したと感じています。Believeチームと一緒に仕事ができることを心待ちにしているし、2021年以降の成功を楽しみにしています。」
■Closer Artistsのポール・マクドナルド氏より:
「Beliveとの契約において、ジェームス(モリソン)は現代的で若く、ダイナミックな国際的企業であり、自分と同じ野心を持っていると認識しました。Believeは、ジェームスの成功の歴史を尊重しており、彼の未来に大いに期待していました。Believeの活躍を非常に楽しみにしています。」
参考サイト:https://www.musicbusinessworldwide.com/believe-launches-paris-ipo-following-most-prolific-quarter-in-its-history/