MUSERが注目する世界の音楽ニュース
ライブを見ながら、アーティストを応援するためのプラットフォーム「MUSER」が注目する世界の音楽ニュース。
今回は、音楽業界と仮想通貨の新しい可能性が感じられるニュースをMusic Business Worldwideよりピックアップしました。
ユナイテッドマスターズが、米最大手仮想通貨取引所コインベースとパートナーシップを契約し、インディーズアーティストへ仮想通貨での給与支払いを可能とさせた。
10月12日のこの発表は、ユナイテッドマスターズが8月に発表したインディーズアーティストに対する新しい会計ツール導入に続くもので、こちらは音楽兼金融会社のbeatBreadとのパートナーシップ契約によりディストリビューターがアーティストに対し$1,000〜$1,000,000(約11万円〜1億1千万円)の前払い金を支払うことができる仕組みとなっている。
さらに、ユナイテッドマスターズはソフトウェア会社Paperchainとも金融関係のパートナーシップ契約を結んでいる。アルゴリズムを利用し、アーティストの最新ストリーミングデータを分析することで印税収入の予測が可能となった。
今回の契約により、ユナイテッドマスターズを利用するアーティストはUSドルか仮想通貨での給与支払いを選択することができる。
また、アーティストはコインベースの商品をフルセットで利用することができる – 支払い、収入、売買、貸し借りなどだ。
ユナイテッドマスターズは「我々のプラットフォームを利用するアーティストに対してより多く、平等で公平な収入の機会を与え、彼ら/彼女らが自立し自らの将来を築いていけること」をゴールとする。
CNBCに対し、ユナイテッドマスターズの創立者兼CEOのSteve Stoute氏は、仮想通貨での支払いを開始する決断についてこう説明している。「クリエイター経済において給与支払いのオプション化は近年大きな話題となっており、実際に多くのアーティストから仮想通貨での支払いを要求されている。」
さらにCNBCは、現在ユナイテッドマスターズのプラットフォームを利用しているアーティストは120万を超えており、これらのアーティストが毎月10億回以上の再生を生み出していること、またアーティストの59%は25歳以下であることを報告した。
3月には、アップルを筆頭にアルファベット、アンドリーセン・ホロウィッツからの融資を受け、ユナイテッドマスターズの資金調達ラウンドが5000万ドル(約57億円)増加したことを発表した。
この出来事は、ニューヨークに本社を設けるユナイテッドマスターズが2017年にグーグル/アルファベットにより7000万ドルの資金調達受けて以来、新たな節目となった。
一方で、コインベースはブログ投稿にて独自のNFTプラットフォーム「コインベースNFT」を設立予定であることを明らかにした。
「我々の金融部門が発展し革新する中で、この変化から利益を得られるような立場にアーティストを置くことに尽力する。」– Steve Stoute氏、ユナイテッドマスターズ
ユナイテッドマスターズの創立者兼CEOのSteve Stoute氏は「コインベースと協働しインディペンデントアーティストに対し仮想通貨で給与支払いを可能にさせること、及びテクノロジーを利用して音楽ビジネスの経済がその裏側にいるクリエイターにとってより良いものにすることは、我々にとって自然な次のステップであった。」
「我々の金融部門が発展し革新する中で、この変化から利益を得られるような立場にアーティストを置くことに尽力する。」と述べた。
「我々は、従業員への仮想通貨での給与支払いを、すべての会社で簡単にしたい。これが給料支払いの未来となる。」– Surojit Chatterjee氏、コインベース
コインベースのCPO(最高製品責任者)、Surojit Chatterjee氏は「コインベースのミッションは世界の経済的自由を高めることであり、ユナイテッドマスターズがアーティストの競争条件を公平化させる取り組みをしていることを称賛する。」
「我々は、従業員への仮想通貨での給与支払いを、すべての会社で簡単にしたい。これが給料支払いの未来となる。」と語った。
NLE Choppa、Lil Tecca、Tobe Nwigwe、Lil XXELなど他多くのアーティストと協働してきたユナイテッドマスターズは、昨年7月にデジタルサービスからの印税収入を100%アーティストに還元する新しいサブスクリプションサービス「Select」をローンチした。
2020年8月には、TikTokがアプリを通して直接ユナイテッドマスターズとTiktok双方のサービスを完全結合する契約を交わしている。